ミニトマトの水耕栽培で失敗しない!初心者向けEC値管理のコツと注意点

室内栽培の基礎知識

液体肥料は「入っていればOK」じゃない!

完全室内・LEDライトで育てられるミニトマトは、虫の心配もなく、見た目も可愛くて人気の野菜です。でも実は、思ったよりデリケートな一面も。

私が初めてミニトマトを水耕栽培したとき、「液体肥料をあげてるのに元気がない…」「葉っぱがしおれてきた…」というトラブルに悩まされました。

原因は、液体肥料の「濃度」。 水をちゃんと足していたつもりでも、肥料のバランスが崩れていたんです。

今回は、そんな初心者の私が学んだ「EC値の管理」について、わかりやすく解説します。

EC値ってなに?水耕栽培で重要な“肥料濃度”の指標

ECとは「Electrical Conductivity(電気伝導度)」の略で、水にどれくらい電気が流れるかを数値で表したものです。

水の中に肥料が多く溶けていれば、それだけ電気をよく通すため、EC値が高くなります
逆に、水だけだと電気はあまり通らず、EC値は低くなります。

つまり、EC値を測れば、肥料がどれだけ濃く入っているかがわかるんです。

ミニトマトの成長段階に応じた「適正EC値」

ミニトマトは、成長の段階によって必要な肥料の濃さが変わります。
また、夏に育てているか、冬に育てているかでも多少異なるようです。

成長段階

目安のEC値(mS/cm)

発芽〜苗期

0.5〜1.2

生育期(葉が茂ってくる頃)

1.5〜2.0

開花〜結実期

2.0〜2.8

これに対し、ベビーリーフやリーフレタスは「1.0〜1.5」で十分。
同じ液体肥料を同じ濃度で使い回すと、ミニトマトにとっては足りなかったり逆に濃すぎたりすることもあります。

私は、種まき〜芽がでるまでは水だけ。芽が出てから蕾ができ始めるくらいは、ベビーリーフなどと同じ濃度「1.0〜1.5」で育てています。

苗を定植(育てる予定の鉢に植え替え)してから、開花している頃に濃度を少し上げて「1.8」くらいにしています。
その後も一気に濃度を上げたりはせず、じわじわと少しずつ段階的に濃度を上げていく方が良いようです。

他にも、ミニトマトには適切な光も必要です。光の強さ「ルクス」については、こちらの記事で書いています。

濃度調整ってどうやるの?失敗しない液体肥料の作り方

液体肥料の濃度は、水で薄めることで調整します。

基本の作り方

  • 液体肥料AとB(または2液タイプ)を、水に既定の割合で混ぜる
  • ECメーターで測定
  • 数値が高すぎたら水を足して調整

私が普段使っているのは、コスパの良い微粉ハイポネックスという粉のタイプのもの。
こちらは作り方はもっと簡単。

1リットルに対し、付属のスプーン小をすり切り1杯入れて溶かすだけ。(スプーン大は2リットル用) そのまま作ると、大体レタスなどの葉物野菜にちょうど良いくらいのEC値です。
実がなっている時のミニトマトには薄すぎるので、肥料を足して濃くします。

逆に開花期のミニトマトに対して、EC値が3.5だった場合は濃すぎるので水を足して2.5くらいに落とします

濃度は日々の蒸発でも変わるため、「作ったら終わり」ではないんですよね。

ECメーターって必要?選び方と使い方

初心者の方からよく聞かれるのが、「ECメーターって本当に必要?」という声。

私自身もレタスなどしか育てていなかった最初のころは使っていませんでした。
でも、ミニトマトが突然しおれて調子が悪くなった時、原因が濃度の問題だと気づけたのは、ECメーターがあったからこそ

初心者向けにおすすめのECメーター

価格帯:1,000〜3,000円程度

特徴:デジタル表示で分かりやすい/ボタン1つで測れるシンプル操作

測定方法

  • 液肥の入った容器にメーターの先端を浸ける
  • 数秒待つとデジタルで数値が表示される
  • 理想のEC値と比較して調整

私の持っているECメーターでは4桁で表示がでます。
1.0 mS/cm = 1,000 μS/cm で、例えば「EC1.2」にしたかったら、ECメーターで 1,200 μS/cmと出るようです。

mS/cm(ミリジーメンス・パー・センチメートル)
μS/cm(マイクロジーメンス・パー・センチメートル)

読み方もよくわからないですよね。
ミニトマトを育て始めた時に分からないなりに、ネットで調べましたが、わたしには難しくてたくさんの記事やYouTubeの動画を見ました。

でも、実際やり始めるとそれほどの手間でもなく、今の成長段階ならこのくらいね、とすぐに判断できるようになりました。

【実体験】液体肥料が入ってるのに、しおれていたワケ

私が水耕栽培で育てている矮性ミニトマト「ミニヒメ」。
葉も茂り、つぼみも順調についていたある日、急にしおれてしまいました

・水はたっぷり
・液体肥料も毎週継ぎ足してる
・根っこも白くて、特に問題はなさそう

それでも元気がない…。
不思議に思って、EC値を測ったところ「4,352」という異常な数値が!

おそらく、

  • 水分だけが蒸発し、肥料が濃縮された
  • トマトが水だけを吸って、肥料が溜まってしまった

などの原因が考えられます。

その後、全部の液体を捨てて、新しく正しい濃度で作り直したら、3日ほどで回復しました。
肥料の入れ替えを怠ると、また同じことがありました。
特に実がたくさんできて色がつく頃に注意が必要な気がします。

2週間に1回、遅くても月に1回は液体肥料の入れ替えをした方が良いなと思いました。

EC値を管理すると、実つき・味にも差が出る!

適切な濃度で育てたミニトマトは、

  • 葉がしっかり厚く、光沢もある
  • 花が落ちにくく、実のつきが安定する
  • 甘みが強く、味のバランスが良い

反対に、濃すぎると「葉焼け」や「生育不良」、薄すぎると「花が落ちる」「実が小さい」「味が薄い」といったトラブルが起きやすくなります。

いくら適切な濃度でも光量(ルクス)が足りないと元気に育たないことも。
室内LEDでの適切なルクス管理についてはこちらの記事も参考にしてみてください。

初心者こそ、EC管理で育てやすさアップ!

「水と肥料を入れておけば育つ」…それも間違いではありません。
でも、ミニトマトのように育成期間が長く、実をつける作物ほど、肥料の濃度が生育に大きく関わります。

ECメーターは難しい機械ではなく、むしろ初心者の味方。
ほんのひと手間で「なぜかうまく育たない…」を防ぐことができます。

室内×LED×水耕栽培でミニトマトを楽しむなら、EC値のチェックもセットで取り入れてみてくださいね。

コメント

タイトルとURLをコピーしました